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お茶も”映え(ばえ)”が必要?仕上げされたお茶とは?

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静岡の茶商さんから送られてきた今年度産(5月の一番茶)の荒茶を使って、先月の店内ワークショップにて、日本茶の品質をチェックする「鑑定」体験を開催しました。

そもそも”荒茶”とは、生のお茶の葉っぱを収穫して、蒸して、揉んで、乾燥させたりして一次加工が終わった状態のお茶のこと。

一見、いつも私たちが飲む煎茶のように見えますが、手にとってみるとガサガサしていて、ずしっと重量感があり、ボリュームがある感じです。

ちょっとつまんでお茶をより分けてみます。

そうすると”本茶”と言われるいわゆる葉っぱの部分だけではないモノが色々と入っていることがわかります。

 

 

葉っぱの大きさも大小ふぞろいだったり、茎(棒)や細長い葉っぱ、細かい粉、葉っぱの葉脈の繊維が残っています。”アタマ”と呼ばれる潰されて団子のように固くなってしまった葉っぱなども混じっていて、通常販売されているきれいで揃っているお茶に比べて、全体的に見た目があまりよくありません。

試しに急須で淹れて飲んでみると、渋みも強いし、いつも飲んでいる煎茶のバランスの取れた「まろやかさ」だったり、繊細な旨みはどこ?って感じです。後味の余韻だったり、香味もなんとなくまとまりがありません。お茶と言えばお茶の味ですが、洗練された味わいや香りが欠けています。

荒茶とは、名の通り「荒っぽい味わい」。そして、この荒茶を仕上げ加工(製茶)したお茶の乾燥度は3%以下であるのに対し(保存製を高めるため)、荒茶は5%ぐらいあって水分量が多く、長期保存には向かず、痛みやすいのも荒茶の特徴です。

一般的に、葉っぱ以外の粉や茎や固まった葉などは、お茶の品質や味わいの雑味となるため、製茶してとりのぞく必要があります。

ここで、茶師と呼ばれる製茶師さんたちの腕の見せ所です。

網目の大きさの違う”まわし”といわれる篩いでふるったり、箕で粉部分を飛ばしたり、機械にかけてより分けたりし、ツヤのある揃ったきれいな茶葉にしていきます。もちろん元々の茶葉が良い品質であることが第一条件ですが、”製茶”をすることにより、ここまで”映える”お茶に変化するのです。仕上がりは茶師の製茶スキルに左右されるとも言われます。

↓我らが前田文男茶師が”まわし”で細かいお茶を取り除いてるシーンです。

見た目をきれいに製茶した後は、火入れをして、長期保存ができるように更に乾燥させていきます。火入れをするとお茶のぷんとした香りも立ってきます。その後は合組(お茶のブレンド)してお茶の味わいのバランスを整え、商品としての価値を高めます。

きれいに製茶されたお茶

荒茶の品質をチェックしたり、買いつけたいお茶を見つけたりする目利き能力や経験は、製茶や仕上げをする茶師には必要です。最終的にお茶を購入し、飲む人が、安全に、おいしく飲めるようにするためです。当たり前のことですが、お茶も野菜のように農作物です。栽培する人、商品として加工する人、そして販売する人がつながっておいしいお茶を毎日楽しむことが出来ます。

お茶の加工も100%機械任せではなく、製茶師の人たちは刻々と変わる製茶中のお茶の状態を見極めながら調節したり、感覚、目や鼻、音、に感覚をすませ、経験と技術と感性でお茶を仕上げていくのです。

荒茶から見えてくるお茶がたどる旅を垣間見ることができました。

 

 

 

 

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