7月23,24日に北欧のフィンランドの首都、ヘルシンキ市内のお茶専門店にて狭山園のお茶の試飲会イベントを開催しました。
フィンランドはコーヒーの消費量が世界一で、市内にもたくさんのカフェがありましたが、本格的なお茶専門店も数件あり、日常的な喫茶文化が根付いている国です。
今回開催するティーショップのイベントスペースにて、お茶好きな常連のフィンランド人のお客さんや、現地で日本のスイーツを作って販売している日本人の方、和食店をやっている方、日本文化や日本茶を熱心に勉強中の現地の学生さんなど、様々な世代の方々、各日10名ずつ参加、半数くらいは二日間連続で参加してくれました。
定期的にお茶の講座や体験ワークショップなどを行っているティーショップのため、オーナーの二人ともイベントの内容を話しあい、一般的な日本茶の基礎知識だけの話ではなく、日本茶専門店の狭山園だからこそできる、狭山や静岡の生産者やそこで作られるお茶のストーリーを感じてもらえるイベントにしようと言うことになりました。
イベント1日目は「静岡茶」と「狭山茶」をテーマに、それぞれの産地を地図で紹介しながら、その土地で作られるお茶の特徴を英語で説明。 静岡茶の飲み比べでは、山のお茶(本山茶)がブレンドされた前田文男茶師のごうぐみ茶、里のお茶代表の静岡掛川産の深蒸し煎茶ひより、そして寒い地域で生産される狭山茶ほのかなど、それぞれに全く個性の異なる煎茶を急須で淹れます。廻し注ぎや、湯呑みにお湯を入れて湯冷しするテクニックなど、日本茶の旨みや香りを引き出す淹れ方も伝えます(Teemaaのオーナーさんたちも真剣に聞いてくれていました)その後、試飲を交え、感想を聞きます。
味わいや香り、お茶の色などなぜ、同じ煎茶なのにこうも違うのか、、その背景にある、製茶技術に注目が集まりました。
複数のお茶を組み合わせることにより深みのある味わいや香りに仕上げる「合組」、お茶の香味を引き出す「火入れ」。日本特有の蒸し製法のお茶を仕上げる過程でとても重要なポイントです。火入れをすることにより、お茶の味わいや香りがどう変化していくのか、ほうじ茶などとの”焙煎”との違いなど、さすが日本茶好きの参加者のみなさん、するどい質問を投げかけてきます。(日本茶業者として答えががいのあるトークで盛り上がります)
静岡や京都、八女や鹿児島など日本茶の産地で有名なお茶は飲んだことがある方が多かったですが、狭山茶は初めて!という人がほとんどで、参加者の皆さんは狭山茶独特の狭山火入れなどに興味津々。中国茶にも火入れが強い烏龍茶や発酵茶は香ばしい香りが特徴のお茶もありますが、新鮮な煎茶の青々しい香りを残しながら香ばしい強い火入れ香りを感じられる狭山茶はとてもインパクトがあったようです。


2日目は狭山茶の歴史や、狭山の茶畑がある地形の特徴など狭山茶をさらに詳しく掘り下げ、甘みがある狭山茶茎ほのかの水出し茶や、狭山和紅茶も試飲。急須での淹れ方のポイントや、飲んだ後の茶殻をヘルシーに料理に生かすアイデアも好評でした。

今回お茶を淹れてみて良かった点が、フィンランドは水質が良く、水道水の水がペットボトルのミネラルウォーターより美味しいと言われていて、そのまま水道水で水出し冷茶も飲め、日本より軟水のため深蒸し煎茶なども甘みや旨みもしっかりと感じられました。狭山園でお馴染みの”ふりふり抹茶すっぴんちゃん”を水道水でいれて作ってみましたが、まろやかでとても美味しく感じました。軟水だと、渋みが出にくい淹れ方ができるので、煎茶などの渋みや苦味もあまり強調されずに飲みやすいと感じました。
今回イベント開催に協力してくれたティーショップ”Teemaa”のオーナーも日本茶と共に中国茶への知識や、お茶に対する情熱と探究心がとても強く、色々な情報交換をしながら信頼関係を深めることができ、狭山園のお茶も気に入ってくれたので日本茶の価値をよりきちんと伝えるために今後も定期的に日本茶イベントなどを行っていく予定です。
狭山園のお茶をもっと多くに人に美味しく味わってもらえるように、海外での茶レンジは続きます!

