愛知県常滑市は伊勢湾に面し、江戸時代より六古釜のひとつとして、長い歴史と伝統を持つ焼き物の町です。ここで生産される焼き物の代表が急須です。
急須は「鋳込み」と言われる型を使ってつくるものと、職人がろくろで一個一個作る手造りものがありますが、常滑では型物もひとつひとつ、ろくろ仕上げをして造られています。そして、常滑焼には「すりあわせ」という急須本体に合う蓋を造るため、ひとつひとつ急須と蓋をすりあわせる技法が使われ、すりあわせがうまく出来ている急須はガタつきがなく、お茶がボタボタ漏れることもなく、最後のゴールデンドロップまでぴっちりと気持ちよく注ぎきることが出来ます。
お茶をおいしく淹れるためには、こういった茶道具のキレ具合も重要です。
土から造られる味わいを生かした急須は使い込むほどに光沢がでで、使うひとの個性が出ると言われます。世界でひとつの使うひとによって仕上げられた急須ってなんともいえない価値と思い入れが生まれます。大量生産、大量消費、使い捨て便利商品があふれる現代に、どっしりと「良いものを長く大切に、使い続けられる」貴重な生活必需品の一つではないでしょうか。
常滑焼の急須は酸化鉄を多く含んだ土で造るため、お茶の苦み成分のタンニンと結合して、味がまろやかになり、おいしく飲めると言われます。
急須のお手入れにもポイントがあります。
お茶殻は淹れっぱなしにせず、飲み終わったらなるべく早く捨てて、急須を洗いましょう。茶漉し部分の目づまりは一度急須の中をカラカラに乾燥させて、歯ブラシなどで軽くこすってから水洗いすると取れます。重曹などを急須の底にいれ、水を浸して数時間おいて茶渋をキレイにするのもおすすめです。帯網茶漉しは狭山園で取り替えできます。(詳しくはこちら ブログ記事 )
~狭山園で取り扱う常滑急須の素材と技術を少しご紹介~練込ー数種の色の異なる土を使いろくろで練り上げたもの。マーブル模様が特徴的!焼締めー無軸の素地を高温で焼しめたもの。ざらざらとした手触りです。黒泥ー黒粘土を使用したものと、朱泥を二度焼し、窯の中でいぶした物の2種類があります。つるっとした手触り。朱泥ー鉄分の多い土を焼いた赤色の無軸のせっ器。急須といえばこの色を思い浮かべるひとも多いのでは。彫りー素地に印刀等で模様や柄を施したもの。一点物が多く職人の技が光る高級品です窯変ー窯の中で焼成中にできる色の変化。グラデーションのように色が変わっています。加飾彫ー素地に彫りで模様を入れ、彩色をしたもの。これも職人技ひかる芸術品のような急須カットーナイフや印刀等で素地の表面をカットし、模様を付けたもの。人の手で行うものならではランダム具合がいいですね
常滑焼説明 参考・常滑焼急須磯部商店2020年優美より