昨年2024年11月9日にドイツ・ベルリンにて狭山園3代目がお茶の試飲会イベントを開催しました。今回はその様子をレポートにまとめました。(店頭ではいっぷく便りに掲載し、お客様に配布しています)
実は現在、日本茶の海外輸出先一位のアメリカに次ぐ二位がドイツでヨーロッパの中でも日本茶人気がじわじわと広がっているようです。
今回のイベントはベルリン市内の日本食の店内を借り、お茶に関心の高い、現地在住の17名の参加者(日本旅行でお茶に興味を持ってくれた方、お茶の輸出入などのビジネスをしている方、陶芸家、お茶好きな学生さん、ダイニングレストラン経営関係者など)が集まってくれました。
今回のテーマは”秋の熟成茶”と”狭山茶”。
狭山園の銘茶シリーズから”狭山茶ほのか” ”前田文男茶師十段のごうぐみ煎茶”を飲み比べしてもらいます。
ここで一つ懸念点だったことが、ドイツの「水質」。お茶は99%水分として抽出されるため淹れる水の品質は味に非常に大きく影響します。会場では水道水をフィルター浄化した浄水を電気ポットで沸騰させて使いました。
水道水をそのまま飲むと少し硬水気味だったため、煎茶のコクや旨味の部分をより強調させて淹れるために、日本で淹れるよりも少し多めの茶葉を使って淹れてみました。渋みが強く出ないように少し温度を冷ましたお湯を使います。
工夫して淹れるとしっかりうまみと甘み、そして適度に広がる渋みもバランス良く抽出することができました。
海外では水の成分の違いのせいで日本で淹れている味わいを完全に再現することはできませんが、あえて軟水のペットボトルやミネラルウォーターは使用せず、現地の水で煎茶を味わってもらい、その味わいを気に入ってもらうことが日常のお茶ライフに日本茶を取り入れてもらうポイントなのです。
狭山火入れのインパクトある香りの狭山茶ほのか派の方、旨味とあまみが上品な合組茶派、それぞれの味わいや香りの違いを五感を使って味わってもらいました。外国人の方にとって一般的には「お茶の渋み」はネガティブなイメージですが、”日本茶には苦味や渋みがあってこそ、あまみや旨みとのバランスが大事”という感想も!上級な煎茶には甘みや旨味成分がたくさん含まれているので、苦いだけのお茶ではなく旨味や甘味と渋みや苦味がうまく調和します。そのためにはやはり淹れ方を知ることも美味しいお茶を味わうために大切なことだと感じました。
試飲をしてもらったお茶の販売もしましたが、意外なことにティーバッグのお茶よりも「茶葉」を欲しい人が多く、じっくりと家でお茶をティーポットや急須で味わいたい人が思ったより多いことに少し驚きました。
世界の中でも珍しい日本茶特有の「蒸し製」のお茶はとてもユニークです。お湯の温度や淹れ方を変えることで同じお茶でも味わいや香りに変化をつけることができるからです。
EU圏の国は日本茶の輸出に関して厳しい有機栽培認証規定などがあり、自由に日本茶を輸出したり、販売することはできませんが、現地に美味しい日本茶を求める人が増えてくればたくさんのチャンスがありそうです。狭山園のお茶が世界各国に広まっていくようにこれからも海外での茶レンジをしていきます! (狭山園3代目・姉 池谷香代子)